掛川工高(掛川市葵町)の女子生徒有志が、老朽化が進んだ自校の更衣室の改修に乗り出す。「待っていても変わらない。自分たちの手で何とかする」。長年にわたって悪評の的だった更衣室の再生に取り組み、校舎の環境改善と設備施工の技術習得を両立させる構えだ。
校舎は築58年。1、2年生が体育着や実習着に着替えるため日常的に使う女子更衣室は約25平方メートルで、元は男子トイレだった。日当たりが悪く薄暗い上、タイルの黒ずみやにおいが染みつき、不満が募っていたという。
改修に名乗りを上げた生徒は学年や学科を超えた11人。環境設備科2年今村美羽さん(17)は「古さもにおいも気になる。ずっと我慢してきた。明るく、新入生にも使いやすい更衣室にしたい」と意欲を燃やす。
管工事やリフォームなどを手がける地元企業トダックスが生徒の取り組みを全面的にサポートする。生徒は2月中旬、同市大池の同社展示場を訪れ、更衣室に適した壁材の種類や修繕方法などを学んだ。井口真一社長は「業界に興味を持ってくれたことが非常にうれしい」と話した。
生徒のデザイン力や新提案に期待を込めて、材料や改修のノウハウは同社が無償で提供する。生徒は今後、工程を練って施工に着手する。有志が中心になり、環境設備科で学ぶほかの生徒の手を借りながら5月ごろの完成を目指す。
同校の生徒は男子が大半で、女子比率は1割程度。理系女子の育成が課題という。今井真教頭は「実際に更衣室を使う生徒ならではの着眼点や発想があるはず。頼もしい」と話し、生徒主導のプロジェクトを見守っている。
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